国際基準・指針

 

主な内容:
担当官庁による監督の枠組み(民間人を含む委員会、実験計画の審査、施設検査、動物実験規程の点検を含む)、動物実験従事者の訓練、獣医学的ケア、実験動物の導入、施設及び環境条件(換気、温湿度、照明、騒音等)、飼育基準(輸送、ケージ、エンリッチメント、給餌給水等)等

 

OIE - World Organisation for Animal Health:世界動物保健機構

1924年にフランスのパリで発足した世界の動物衛生の向上を目的とした政府間機関。2014年5月現在180の国と地域が加盟。日本は1930年に加盟。現在では動物衛生のみならず、食品安全及び動物福祉も作業対象に含まれる。以下の6つを目的に掲げている。
1.世界的な動物の病気の状況に関する情報共有
2.獣医学的情報の収集、分析、普及
3.動物の病気のコントロールにおける国際的連帯の促進
4.動物及び動物由来製品の国際貿易のための衛生基準の策定
5.各国における獣医学サービスの法制度及び人的資源の改善
6.動物由来食品の安全性確保と動物福祉の向上

 

 (以下、一部抜粋、翻訳)

7.8.4 監督の枠組み
担当官庁(政府機関)の役割は、機関のコンプライアンス(訳注:法令その他を遵守していること)を確認するシステム(政府あるいはその他の)を実施することである。これは通常、認可のシステム(実験機関、実験者、実験計画の免許または登録のような)ならびに、機関、地域、国レベルで評価されるコンプライアンスのシステムを含む。
監督の枠組みは動物使用の倫理的レビュー及び動物のケアと福祉に関する配慮の両方を含む。

・・・・・・

監督責任は以下の3つのキーとなる要素を含む。
1.実験計画の審査
(省略)
2.施設の査察
(省略)
3.倫理的評価
(省略)

 

7.8.6 獣医学的ケア
適切な獣医学的ケアは、研究期間の前後及び最中における動物の健康と福祉を向上させる責任、並びに最良の事例に基づく助言及びガイダンスを提供する責任を含む。獣医学的ケアは動物の身体的、行動的状態への配慮を含む。獣医師には動物福祉に関する判断をする権限及び責任がある。獣医学的な助言とケアは、いつでも受けられるようにすべきである。

 

 

 

 主な内容:3R、動物福祉、獣医学的ケア、人道的エンドポイント、教育訓練、記録、動物使用の監督システム

 

CIOMS(Council for International Organizations of Medical Sciences):国際医科学団体協議会

1949年にWHO(世界保健機関)とユネスコ(国連教育科学文化機関)の協力によって設立された国際的な非政府・非営利組織。本部はジュネーブ。各国の医学関連団体、研究グループ、行政機関がメンバーとなり、国際間にまたがるような医学関連事項の研究推進を行い、国際的な医療関連業務の円滑な促進を図ることを目的としている。

 

(以下、一部抜粋、翻訳)

X. これらの原則の実践方法は文化的、経済的、宗教的、社会的要因により国によって異なるかもしれないが、これらの原則の遵守状況を確認するための動物使用を監督するシステムをそれぞれの国で実施すべきである。このシステムは認可の仕組み(実験機関、実験者、実験計画の免許または登録のような)ならびに、機関、地域、国レベルで評価される監督の仕組みを含むべきである。この監督の枠組みは動物使用の倫理的レビュー及び動物の福祉とケアに関する配慮の両方を含むべきである。

 

V. 獣医学的ケアのプログラムの決定において動物の健康と福祉は第一に考慮されるべきである。このプログラムには動物の入手、生産、輸送、飼養管理、 飼育施設、拘束、動物の最終処分(安楽死か、飼い主へ返却か、解放するかに関わらず)を含む。動物の環境と管理がその動物種にふさわしく、動物のwell-beingに貢献することを確実にするよう方策が講じられるべきである。

 

VI.   動物の福祉、ケア、使用は、飼育されているまたは研究に使われる動物種の健康、福祉、適切な取り扱い、使用について訓練と経験を積んだ獣医師または科学者の監督のもとで行われるべきである。動物の福祉、ケア、使用に責任を有する個人またはチームは、そのプログラムの全ての側面の発展と維持に関わるべきである。動物の健康と福祉は、潜在的な苦痛の指標が即座に検出され管理されることを確実にするような基準で、継続的に監視、評価されるべきである。適切な獣医学的ケアが常に(必要に応じて獣医師により)受けられるようにすべきである。

 

VII.   研究者は、反対の証拠がない限り、人間に痛みや苦しみを引き起こす処置は動物にも痛みや苦しみを引き起こすと仮定すべきである。このため、動物のストレス、苦しみ、不快、痛みを適切な科学的または獣医学的医療に適合したやり方で防いだり最小にすることは道徳的義務である。研究と教育の目的を考慮しつつ、動物における瞬時または最小以上の痛みや苦しみは、実験技術の洗練、適切な鎮静薬/鎮痛薬/麻酔薬/非薬理的介入、資格を持った獣医師または科学者と相談して開発されたその他の苦痛緩和法によって管理され、軽減されるべきである。手術その他の痛みのある処置は、無麻酔の動物に対して行うべきではない。

 

VIII.  人道的理由および実験上の理由の両方に基づいて、エンドポイントとタイムリーな介入を設定すべきである。人道的エンドポイントおよび/または介入は動物使用の前に設定すべきであり、当該研究の全体を通じて評価すべきであり、不要および/または意図しない痛みや苦しみを防ぎ、改善ないしは最小限にするために出来る限り早期に適用すべきである。実験計画の一環ではなく、緩和できない激しいまたは慢性の痛み、苦しみ、不快を被ることが予想される動物は、研究から除くかまたはその種や動物の状態に適した方法を用いて安楽死させるべきである。