日・米法律条文比較

 日本の動物実験は自主管理を基本としていて、アメリカ型だとよく言われますが、実際にアメリカと日本の法律を比較したらどうなるのでしょうか?

 

 比較表からわかるように、圧倒的な差があります。


 ヨーロッパより規制が緩いと言われるアメリカと比較しても、日本はこれほど遅れた状況です。

 

 アメリカでは国(農務省)がきちんと研究施設も取り締まっていますが、日本で環境省や自治体が動物愛護管理法に基づいて、研究施設を取り締まって罰則を科した、というような話は聞いたことがありません。施設が届け出も登録もされてなく、立ち入り調査も行われないために、実質、研究機関は野放しだからです。

 

 日本の動物実験関係者の中には、日本にはアメリカと同レベルの規制があるなどと主張する人がいますが、それは全くのデタラメです。

 

 以下をご覧いただければ一目瞭然です。

(※アメリカには動物福祉法よりも更に詳しい動物福祉規則(Animal Welfare Regulations)もあります。)

 

 (動物実験/実験動物に直接関わると考えられる部分を抜粋。)
 米国・動物福祉法は地球生物会議ALIVE翻訳より(転載許可を得ています)

 

米国・動物福祉法(Animal Welfare Act)

日本・動物愛護管理法

1条 議会の方針宣言
a)本法の呼称は「動物福祉法」とする。
b)議会は、本法が規制する動物と事業は、州間または対外通商に関係するか、もしくは前記の通商やその自由な流通に重大な影響をおよぼすものであり、本法による動物と事業に関する規制は、前記の通商への負担を防止、除去し、以下の観点から効果的に規制するために必要であることを認める:
1)研究施設、展示、ペット用動物への人道的ケアと処遇[treatment]の確保。
2)通商として輸送される動物への人道的処遇の確保。
3)盗難動物の販売や使用を防止することにより、動物の所有者を窃盗から保護すること。
議会はまた、研究や実験、展示、ペット販売向けの保有、その他同種の目的で動物を使用する個人または団体による動物の輸送、購入、販売、収容、ケア、取扱い[handling]、処遇を本法によって規制することの重要性を認める。議会はさらに以下のことを認める:
1)特定の研究や教育における動物使用は、人や動物の疾病や傷害の治療に関する知識を増進させる手段である。
2)ある種の目的をもつ実験では、動物を使用せず、しかも従来の動物実験より迅速、低廉、正確な試験法の開発がなされ、かつ継続されており、さらに前記のような試験法にはさらなる開発の機会も見込まれている。
3)動物実験の不必要な重複を回避したり最小限にとどめる方策をとることは、連邦 資金のより生産的な使用につながる。
4)実験動物のケアと処遇に対する一般の懸念に応えることを支援する方策は、研究 の持続的な進歩を保証する上で重要である。

2条 定義
e)研究施設[research facility]とは、生きた動物を研究、試験、実験に使用するかその意図をもつすべての学校(初等・中等学校を除く)、研究所、組織、または人物で、(1)生きた動物を通商により購入または輸送するか、もしくは、(2)研究、試験、実験を行う目的で、合衆国の省庁や部局、その他の行政機関を通じ助成金、給付金、貸付金、委託を受けているものをいうが、ただし、生きた犬猫を使用せずその使用意図もない学校、研究所、組織または人物については、前記の学校、研究所、組織または人物の主な機能が生物医学の研究や試験で、相当数(長官が定める)の生きた動物を使用しているのでない限り、長官の規則により、本法の目的を損なわない範囲で除外することができる。
f)動物商[dealer]とは、(1)生死にかかわらず、研究、教育、展示、またはペット用の犬その他の動物や、(2)狩猟、警備、または繁殖用の犬を、通商として報酬や利益の取得を目的に配達したり、運送業者ではないが輸送したり、購入、販売、あるいは売買交渉を行う者をいうが、以下のものは除外される:
i)研究施設、展示業者、または動物商向けの販売を行わないペット小売り店、あるいは(ii)野生動物、犬猫の販売や売買の交渉を行わず、他の動物の販売からも年間500ドルをこえる所得を得ていない人物。
g)動物[animal]とは、生死にかかわらず、犬、猫、サル(ヒト以外の霊長類)、モルモット、ハムスター、ウサギ、その他の温血動物で、研究、試験、実験、展示、またはペット用に使用されるか、その使用意図があると長官が判断するものをいうが、ただし、研究用以外の馬その他の農用動物[farm animals]で食用や繊維生産用、もしくはそうした使用意図のある(それらに限定しないが)家畜や家禽、および動物の栄養、繁殖、管理、生産効率の改善や食糧、繊維の質の向上を目的に使用されたり、そうした使用意図のある家畜や家禽は除外される。犬については、狩猟、警備、繁殖目的で使用される犬も含めたすべての犬が対象である。
k)連邦機関[Federal agency]とは、合衆国法律集第5章第105条に定められた行政機関であり、研究施設との関連で言及する場合は、動物使用を伴う研究、実験、試験を行うための連邦資金を研究施設に給付している機関である。
l)動物使用を伴う研究、実験、試験を行うための連邦給付金[Federal award for the conduct of research, experimentation, or testing, involving the use of animals]とは、前記の研究の実施を補助するすべての連邦資金の供与形態(助成、給付、貸付、委託、協定など)をいう。
m)定足数[quorum]とは、委員会の委員の過半数をいう。
n)委員会[Committee]とは、第13条(b)節に基づいて設置される施設動物委員会[Institutional Animal Committee]をいう。
o)連邦研究施設[Federal research facility]とは、生きた動物を研究や実験に使用する合衆国の省庁や部局、その他の行政機関をいう。

3条 動物商と展示業者の免許
長官は、長官が指定する書式と様式によって申請し、本法第23条により定められた料金を支払った動物商および展示業者に免許を発行しなければならないが、ただし、前記の免許は、その動物商または展示業者が、本法第13条に基づき長官が公布する基準を自施設が満たしていることを証明するまで発行してはならず、また、ペット小売り店や、自己所有の敷地内で犬猫を繁殖、育成し、前記の犬猫を研究施設に販売しているが、その収入が総所得の相当部分を占めていない人物は、本法にいう動物商または展示業者として免許を取得する義務がない。また長官は、本法にいう動物商または展示業者の資格を欠いているが、上記に示された要件を満たし、本法のすべての規定と、本法に基づいて長官が定める規則を遵守する旨を書面で同意した者には、動物商または展示業者の免許を与える権限をもつものとする。

4条 動物商と展示業者に求められる有効免許
動物商または展示業者は、長官の免許を取得し、その免許が停止処分や剥奪処分を受けていない場合に限り、研究施設、展示、またはペット用の動物の通商としての販売、売品としての提供、輸送、輸送の提供をしたり、他の動物商や展示業者との間で通商としての動物売買や売買の申し込みをすることができる。

5条 動物商と展示業者が犬猫を処分できる時期
動物商または展示業者は、犬猫の取得後5営業日以内、もしくは長官が別に定める期間内にこれらを販売その他の方法で処分してはならないが、ただし、本法第12条に定めるセリ開催者には本条項への遵守義務はないものとする。

6条 研究施設、取扱い業者、運送業者および免許未取得の展示業者の登録
すべての研究施設、中間取扱い業者、運送業者、および本法第3条に定める免許を取得していないすべての展示業者は、長官が定める取決めと規則にしたがって登録を受けなければならない。

7条 認可されたセリ開催者、および有免許の動物商または展示業者以外からの研究施設による犬猫の購入禁止
研究施設が、本法第12条に定めるセリ開催者または本法第3条により免許取得が免除された人物を除き、本法のもとで長官が発行した有効免許をもつ動物商、展示業者以外の人物から犬猫を購入することは違法となる。

8条 認可されたセリ開催者、および有免許の動物商または展示業者以外からの合衆国政府による犬猫の購入禁止
研究、実験、または展示用に動物を使用している合衆国の省庁や部局、その他の行政機関は、本法第12条に定めるセリ開催者か、本法第3条により免許取得が免除された人物を除き、本法のもとで長官が発行した有効免許をもつ動物商、展示業者以外の人物から、前記の目的で犬猫を購入その他の方法で取得してはならない。

9条 主体-代理人関係の確立
本法の各条項の解釈と執行に当たっては、研究施設、動物商、展示業者、第3条第2項により動物商または展示業者として免許を取得した人物や本法第12条に定めるセリ開催者、中間取扱い業者、運送業者を代理したり、これらに雇用されている人物の行為、不作為、不履行は、それがその職務や役務の範囲内である限り、本人のみならず前記の研究施設、動物商、展示業者、免許取得者、セリ開催者、中間取扱い業者、運送業者の行為、不作為、不履行とみなすものとする。

10条 動物商、展示業者、研究施設、中間取扱い業者、運送業者による記録保持
動物商および展示業者は、長官が指定する動物の購入、販売、輸送、個体証明、前の所有者に関する記録を付け、長官が指定する合理的な期間それを保持しなければならない。
研究施設は、生きた犬猫ついてのみ、前記の購入、販売、輸送、個体証明、前の所有者に関する記録を付け、保持しなければならない。中間取扱い業者と運送業者による動物の輸送、受託、取扱い、荷渡し記録を指定書式に記入させている連邦政府の規制機関はすべて、長官の要請があれば、本法の効果的な施行のために長官が必要とする情報を書式に追加し、中間取扱い業者および運送業者に記入させなければならない。前記の情報は、長官が指定する合理的な期間保管しなければならない。連邦政府の規制機関が前記の指定書式をもたない場合には、中間取扱い業者および運送業者は、長官が定める動物の輸送、受託、取扱い、荷渡しに関する記録を付け、長官が定める合理的な期間保持しなければならない。前記の記録は、合理的な期間中、長官による検査と複写ができるようにしておかなければならない。

11条 動物の流通と個体識別
動物商または展示業者が、通商上の輸送機関に引渡したり、輸送、購入、販売するすべての動物は、長官が定める期間、長官が定める人道的な方法により標識を付けるか、個体識別ができるようにしておかなければならないが、ただし、研究機関については前記の標識や識別が必要なのは生きた犬猫のみとする。

12条 セリの人道的基準と記録保持の要件
長官は、動物商、研究施設、およびセリにおける展示業者、前記のセリの開催者による通商としての動物の購入、取扱い、販売を規制する人道的基準および記録保持に関する要件を公布する権限をもつ。長官はまた、通商として犬猫の販売を行うセリ開催者に対し、長官が指定する条件のもとに、本法第23条で長官が指定する料金を支払って免許を取得することを義務づける権限をもつ。

13条 動物の人道的取扱い、ケア、処遇および輸送に関する基準と証明手続き
a)基準、規程、規則、その他の要件の公布;研究施設;州当局
1)長官は、動物商、研究施設、展示業者による動物の人道的取扱い、ケア、処遇および輸送に関する管理基準を公布しなければならない。
2)(1)項の基準では以下に関する最低要件を定めなければならない:
A)取扱い、収容、給餌、給水、衛生、通気、極端な天候や温度からの庇蔭、適切な獣医学的ケア、および、動物の人道的取扱い、ケア、処遇のために長官が必要と認めた場合には、種ごとの隔離。
B)長官が公布する全般的基準にしたがって担当獣医師が判断する犬の運動と霊長類の心理的安寧を助長する物理的環境。
3)研究施設の動物については(1)項の基準に、(2)項の内容の上にさらに以下の要件を付け加えなければならない:
A)麻酔、鎮痛剤、鎮静剤の適切な使用や安楽死における適切な獣医学的ケアなど、動物の苦痛や苦悶を最少限にとどめるためのケア、処遇、実験処置における行為。
B)実験動物に苦痛や苦悶もたらす恐れのある処置に対し、主たる研究員がその代替法を考慮すること。
C)動物に苦痛を引き起こす恐れのある行為について:
i)前記の処置の計画段階で獣医師と相談すること。
ii)鎮静剤、鎮痛剤、麻酔剤を使用すること。
iii)実験施設の職員が、獣医学的、獣医看護学的に確立した手法にのっとって術前術後のケアに当たること。
iv)麻痺薬を無麻酔で使用しないこと。
v)科学的に必要な時間以上に、鎮静剤、麻酔剤、鎮痛剤、安楽死の処置を遅延させないこと。
D)術後の回復が許された動物は、以下の場合を除き、二度以上大きな手術実験に使用してはならない。
i)科学的な必要性がある。
ii)その他、長官が決定する特別な事情がある。
E)この基準の例外は、研究手順書に明記されている場合に限って認められるものとし、前記の例外措置は、(7)項に規定される施設動物委員会に提出する報告書の中で詳細に説明されなければならい。
4)長官はまた、動物商、研究施設、展示業者、セリ開催者その他の人物、合衆国の省庁や部局、その他の行政機関、または州、自治体から委託された動物に対する、中間取扱い業者、航空会社その他の輸送業者による通商としての輸送とそれに関連した取扱い、ケア、処遇に関する管理基準を公布しなければならない。長官は、収容、飼料、水、休息、通気、温度、取扱いなどに関する要件を含め、通商としての輸送がなされる動物への人道的処遇を確保する上で、必要と判断する取決めや規則を公布する権限をもつものとする。
5)長官は、本条のもとに定められる基準の公布と執行に当たり、必要に応じて外部の顧問を含めた専門家と協議する権限と義務をもつ。
6)(A)本法のいずれの部分も:
i)本節(7)の規定を除き、研究施設において前記の研究施設が決定する実際の研究や実験の計画、概略、指針に関する取決め、規則、命令を公布する権限を長官に与えるものと解釈してはならない。
ii)本節(A)および(C)(ii)から(v)の規定を除き、研究施設において前記の研究施設が決定する実際の研究や実験の遂行における取決め、規則、または命令を公布する権限を長官に与えるものと解釈してはならない。
iii)査察に際し、実際の研究や実験の実施を妨げる権限を長官に与えるものではない。
B)本法のいずれの取決め、規則、命令、部分も、企業秘密や、秘匿権があるかもしくは機密とされる業務情報や財務情報を、査察に当たり一般公衆や施設動物委員会に公開することを研究施設に義務づけるものと解釈してはならない。
7)(A)長官は、各研究施設に対し、その施設が本法の各条項を遵守しており、そ の施設での実際の研究や実験が動物のケア、処遇、使用に関し専門的に容認できる管理基準にしたがっている旨を、査察時に示しかつ少なくとも毎年報告することを義務づけなければならない。
B)(A)項の要件を満たすために、前記の研究施設は以下のものを提示しなければならない。
i)動物に苦痛や苦悶をもたらす恐れのある処置に関する情報と、主たる研究員がそれらの処置の代替法を検討したことを示す証拠。
ii)前記の施設が本条による基準を遵守していることを長官に納得させる証拠。
iii)本条により公布される基準からの逸脱がある場合は、それに関する釈明。
8) (1)項は、いずれの州(またはその下位行政区)に対しても、(1)項により長官が公布する基準にさらに追加した基準を公布することを妨げるものではない。
b)研究施設委員会;設置、委員、機能その他
1) 長官は、各研究施設に少なくとも1つの委員会の設置を義務づけなければならない。各委員会は、前記の研究施設の最高経営責任者が使命する3名以上の委員から構成されなければならない。前記の委員は動物のケア、処遇、およびその研究施設が必要に応じて定める実験研究における行為に関し、十分な評価能力を備え、かつ前記の施設で使用される実験動物の福祉への社会的関心を代表しなければならない。委員会委員のうち:
A)少なくとも1名は獣医師でなければならない。
B)少なくとも1名は、以下の者を入れなければならない:
i)委員会委員であること以外は前記の施設と関係をもたない者。
ii)前記の施設の関係者の近親でない者。
iii)動物の適正なケアと処遇への一般社会の関心を代表する者。
C)委員会の人数が3名をこえる場合は、前記の施設の同一管理部門から3名以上の委員を出してはならない。
2) (3)項の査察を含め、委員会のあらゆる公式活動は定足数を必要とする。
3) 委員会は、前記の研究施設のすべての動物研究区域、動物施設に対し、少なくとも半年ごとの査察を行い、その査察においては、動物への苦痛や苦悶を最少限にとどめる本法の諸条項が遵守されていることを確認するため、以下の評価を行わなければならない:
A)動物に苦痛をもたらす行為。
B)動物の置かれている状態。
被験動物がその動物にとっての自然環境におり、研究区域への立ち入りが困難な場合は、長官が査察義務を免除することができる。
4)(A)委員会は各査察ごとに査察証明報告書を研究施設に提出しなければならな い。前記の報告書には:
i)査察に加わった委員会委員の過半数の署名がなければならない。
ii)動物のケアや処遇上の欠陥や、事前承認を受けた申請書から実際の研究が逸脱し動物福祉を損なったなど、長官が公布する基準や義務づける事項への違反は、前記の状況に関する施設への通告とその後の改善を含め、すべて記載しなければならない。
iii)委員会内での少数意見をすべて記載しなければならない。
B)前記の報告書は、その研究施設に少なくとも3年以上保管し、動植物検疫局その他資金供与を行っているすべての連邦機関による査察時に提示しなければならない。
C)(3)項により発見された欠陥や逸脱の改善の機会を研究施設に与えるため、委員会はその研究施設の管理責任者に、本法の諸条項に照らしたすべての欠陥や逸脱を通告しなければならない。通告により改善の機会を与えた後もなお前記の欠陥や逸脱が改善されない場合には、委員会は、動植物検疫局および資金供与を行っている連邦機関に、前記の欠陥ないし逸脱を(書面で)通知しなければならない。
5)査察の結果は、農務省の査察官による査察時に閲覧と評価ができるようにしてお かなければならない。農務省の査察官は、未改善の欠陥や逸脱が含まれる委員会の査察記録を、動植物検疫局および前記の未改善の欠陥や逸脱が生じたプロジェクトに資金供与を行っている連邦機関に送付しなければならない。
c)連邦研究施設;設置、構成、連邦委員会の責任
連邦研究施設は、本条(b)節で規定したのと同じ構成をもち、同じ責任を負う連邦委員会を設置しなければならないが、連邦委員会は、欠陥や逸脱に関する報告を動植物検疫局ではなく、その研究を行っている連邦機関の長に行うものとする。その研究を行っている連邦機関の長は以下の責任を負うものとする:
1)その施設が講じるべきすべての改善措置。
2)査察手順におけるすべての例外措置の認定。
d)研究施設で動物のケアと処遇にかかわる科学者、動物技術者、その他の人員の訓練
各研究施設は、前記の施設で動物のケアと処遇にかかわる科学者、動物技術者、その他の人員に対し、長官が義務づける訓練を実施しなければならない。前記の訓練では下記のことが指導されなければならない:
1)動物管理と動物実験における人道的な行為。
2)動物使用を最少限にとどめるか、もしくは不要にしたり、動物の苦痛や苦悶を軽減できる研究法や試験法。
3)本条(e)節により設置される国立農業図書館の情報サービスの利用。
4)動物のケアと処遇における欠陥の報告方法。
e)国立農業図書館での情報サービス部門の開設;サービスの機能
長官は、国立農業図書館に情報サービス部門を開設しなければならない。このサービスでは、国立医学図書館との連携のもとに以下の情報を提供しなければならない:
1)職員訓練に関連した情報。
2)研究施設の必要に応じ、知らずに動物実験を重複するのを防止するための情報。
3)動物実験の改善につながる以下のような方法。
A)動物使用を削減したり代替する方法。
B)麻酔や鎮痛など、動物の苦痛や苦悶を最少にとどめるための方法。
f1 研究プロジェクトへの連邦助成の一時停止または打切り;条件;不服申し立ての手続き
長官または研究プロジェクトに資金供与を行っている連邦機関が、研究施設に通告し矯正の機会を与えたにもかかわらず、動物のケア、処遇、または特定のプロジェクトにおける行為が、本法に基づき公布される基準を遵守していないと判断した場合には、前記の機関は、そのプロジェクトに対する連邦助成を一時停止するか、または打切らなければならない。前文に基づく措置の結果、連邦助成を打切られた研究施設には、合衆国法律集第5章第701条から706条に定める不服申し立ての権利が与えられるものとする。
f2 獣医師による証明;内容;免除
犬猫その他長官規則が指定する種、分類の動物は、獣医師免許をもつ獣医師がその動物を特定の日付に検査したことを証明するために発行した証明書を伴わない限り、動物商、研究施設、展示業者、セリ開催者、もしくは合衆国、州や地方自治体の省庁や部局、その他の行政機関から、通商としての輸送のために中間取扱い業者や運送業者に引渡してはならず、また前記の取扱業者や運送業者は、前記の人物、省庁や部局、その他の行政機関から通商としての輸送のために荷受けしてはならない。またこの検査は前記の引渡し前10日以降に行い、その時点でその動物には、動物自身または他の動物や公衆衛生に害をおよぼす恐れのある感染症や身体的異常が認められなかったことを示すものとするが、ただし、研究、試験または実験目的で研究施設に輸送される動物で前記の証明に適さないものについては、長官は規則により、その規則において長官が定める条件のもとで、この証明義務を免除することができる。中間取扱い業者または運送業者が受領した前記の証明書は、本法第10条にしたがい長官規則が指定する期間、保管されなければならない。
g)登録研究施設に引渡される動物の年齢;長官が動物の種類と年齢制限を追加指定する権限
いかなる人物も、犬猫その他、長官規則が指定する種、分類で、長官規則が定める年齢に達していない動物は、登録研究施設に引渡す場合を除き、通商としての輸送のために中間取扱い業者や運送業者に引渡してはならない。長官は、通商としての輸送との関連で人道的処遇を確保するために前記の措置が必要または適切と判断した場合には、動物の種や分類を追加指定しなければならず、また特定の種や分類の犬猫その他の指定動物に応じて年齢の下限を定めることができる。
h)通商としての動物輸送におけるC.O.D.(代金引換払い配送)協約の禁止;例外
通商としての何らかの動物輸送にかかわる中間取扱い業者や運送業者は、荷受人に到着を通知後48時間以内に引き取り請求のない動物については荷主がその輸送費用を、必要なら返送費用と前記の動物のケア、給餌、保管にかかる現金支出費用として十分な金額とともに支払う旨を書面で保証していない限り、前記の動物代金や輸送費用を引渡し時に荷受人から受け取る約束を交わしたり、そのような行為に従事してはらない。

14条 合衆国政府施設の動物の人道的基準
実験動物施設をもつ合衆国のすべての省庁や部局、その他の行政機関は、第13条(a)(f)(g)および(h)節に基づき長官が公布する研究施設の基準その他の要件を遵守しなければならない。動物を展示する合衆国のすべての省庁や部局、その他の行政機関は、第13条(a)(f)(g)および(h)節に基づき長官が公布する基準を遵守しなければならない。

15条 長官と連邦、州、地方自治体との間の協議と協力
a)長官は、本法第13条に基づく基準を定め、かつ本法の目的を遂行するに当り、実験または展示用の動物の福祉に関係をもつ他の連邦政府の省庁や部局、その他の行政機関、または通商としての輸送を規制する法執行機関と、協議、協力しなければならない。長官は、規則の発令に際し事前に保健社会福祉省長官と協議しなければならない。動物の航空輸送およびそれに関連した取扱いに関する管理基準の公布に際しては、運輸長官と協議しなければならず、運輸長官は、協議後30日以内に、前記の規制は航空上の安全の見地から変更が必要である旨を長官に通知することにより、前記の基準を拒否する権限をもつものとする。州間通商委員会、運輸長官、および連邦海運委員会は、長官が定める基準を施行するに当たり、各々の法的権限内で、基準によって規制される人物に対し適切な措置を講じなければならない。
b)長官は、本法および同種の問題に関する州や地方自治体の法令や条例を施行するた めに、州や下位行政区の職員と協力する権限をもつ。

16条 長官による本法の執行業務
a)調査と査察
長官は、動物商、展示業者、中間取扱い業者、運送業者、研究施設、または本法第12条に定めるセリ開催者が、本法やそのもとに発令される規則や基準の何らかの条項に違反したか、あるいは現に違反しているか否かを判断する上で必要とみなした場合には、前記に対する調査ないし査察を行うことができ、また前記の目的であらゆる合理的な時間内に、前記の動物商、展示業者、中間取扱い業者、運送業者、研究施設、セリ開催者の事業所、施設、動物、および第10条が義務づける記録を検査できるものとする。長官は各研究施設を少なくとも年1回査察しなければならず、本法のもとに公布される基準と照らして欠陥や逸脱がある場合には、前記の基準に照らした欠陥や逸脱が改善されるまで必要なフォローアップ査察を行わなければならない。長官は(1)動物商が保有する動物、(2)展示業者が保有する動物、(3)研究施設が保有する動物で、その動物が使用されていた研究、試験、実験のために前記の研究施設からそれ以上必要とされない動物、(4)セリ開催者が保有する動物、(5)中間取扱い業者または運送業者が保有する動物が、本法の条項または本法のもとに発令される規則や基準への不遵守の結果苦しんでいるのが発見された場合、査察官が人道的な方法により処分できるよう、長官が必要とみなす取決めと規則を公布しなければならない。
b)公務妨害に対する刑罰
本法に基づく公務に従事するか公務を遂行している人物に、示力をもって攻撃、抵 抗、反抗、妨害、干渉した者は、5,000ドル以下の罰金または3年以下の禁固、またはその両方に処すものとする。前記の行為を犯すに当り、殺傷力をもつか、もしくは危険な武器を使用した者は、10,000ドル以下の罰金または10年以下の禁固、またはその両方に処すものとする。本法に基づく公務に従事するか公務を遂行している人物を殺害した者は、合衆国法律集第18編第1111条および第1114条に規定された罰に付すものとする。
c)手続き
本法および本法のもとに公布される規則と基準が有効に施行、執行されるよう、本 法の規定を施行、執行する長官の管轄、権能、職務、および前記の権限の対象となるすべての人物、企業、会社に対し、「連邦通商委員会の設立、その権限と任務の規定、その他を目的とする法律」(15 U.S.C. 46, and 48-50; 38 Stat. 721-723, as amended)という名の法律の第6条、8条、9条および10条の規定(罰則を含む)(第6条(c)節から(h)節までと第9条最終節は除く)と、「組織犯罪取締法(1970年)」(18 U.S.C. 60001 et. seq., 62 Stat, 856)第II編の各条項とを適用する。長官は、合衆国の直轄地、領有地、コロンビア特別区、プエルトリコ共和国を含むすべての区域において、本法に基づく職務に必要な照会を行うことができる。合衆国のすべての地方裁判所は、上述の1914926日付修正法の第9条および10条が合衆国地方裁判所に与えている管轄権を、本法の目的で行使できる。合衆国地方裁判所、グアム地方裁判所、バージン諸島地方裁判所、米領サモア最高裁判所、その他の直轄地の合衆国裁判所は、本法を執行し、本法への違反を防止、抑制するための明確な管轄権をもち、本法第19条(c)節に定める件を除き、本法のもとで生起するその他あらゆる種類の事件に対する管轄権をもつものとする。

17条 法的に設置された法執行機関による査察
長官は、法的に設置された法執行機関から遺失動物の捜索にかかわる要請があった場合には、動物商、展示業者、研究施設、本法第12条にいうセリ開催者に対し、彼らの動物とその記録とを合理的な時間に検査させることを義務づける取決めと規則を公布しなければならない。

19条 免許取得者による違反
a)免許の一時停止、通告と意見聴取;剥奪
長官は、動物商、展示業者、または本法第12条に定めるセリ開催者として免許を受けた人物が、本法の何らかの条項、もしくは本法のもとに長官が公布する何らかの取決め、規則、基準に違反したか、違反していると信じるに足る理由がある場合には、前記の人物の免許を、21日間をこえない期間内で一時停止させることができ、また、通告と意見聴取の機会を設けた後に前記の違反の発生が確定した際には、さらに長官が指定する期間だけ停止を延長するか、もしくは前記の免許を剥奪することができる。
b)条項への違反に対する制裁金;別個の罪;通告と意見聴取;上訴;制裁金の考慮;制裁金の酌量;制裁金不払いに対する司法長官による民事訴訟の提起;地方裁判所の管轄権;排除命令への違反
長官は、動物商、展示業者、研究施設、中間取扱い業者、運送業者、本法第12条に定めるセリ開催者で、本法の何らかの条項、または本法のもとに長官が公布するいずれかの取決め、規則、基準に違反した者に対し、前記の違反の各々について2,500ドル以下の制裁金を課すことができ、また前記の人物に、前記の違反の継続の停止を命令することができる。違反は1件ごと、違反が継続する1日ごとに別個の罪とみなすものとする。容疑のある違反について通告と意見聴取の機会が与えられるまでは、前記の人物に罰が課されたり排除命令が発令されてはならず、また、長官による罰の賦課命令や排除命令は、その影響を被る人物が、その長官命令について適切な合衆国上訴裁判所に上訴しなかったときに最終的かつ確定的な命令となるものとする。長官は、その人物が関与する事業の規模、違反の重大性、その人物の誠実性、前科を考慮した上で、妥当な罰を課すようにしなければならない。長官は、前記のいずれの制裁金も酌量することができる。本条に基づく最終命令により課せられた罰金が支払われない場合には、長官は、司法長官に対して、合衆国の地方裁判所またはその人物が発見されたか、居住するか、事業を行っている区域の他の合衆国法廷に、罰金徴収の民事訴訟を提起するよう要請しなければならず、また前記の裁判所は、前記の訴訟を審理しその判決を下す管轄権をもつものとする。本条に基づく長官の排除命令に故意に違反した人物は、前記の違反の各々について1,500ドルの制裁金が課されるものとし、また前記の違反は継続する1日ごとに別個の罪とみなされるものとする。
c)終局命令を不服とする人物による上訴;期限;合衆国上訴裁判所の独占的管轄権
本条により発令された長官の終局命令に不服をもつ動物商、展示業者、研究施設、 中間取扱い業者、運送業者、または本法第12条に定めるセリ開催者は、前記の命令の発効後60日以内に、適切な合衆国上訴裁判所に、合衆国法律集第28編の第2341条、第2343条から2350条の規定にしたがって、前記の命令の撤回を請求でき、また前記の裁判所は、長官命令の差し止め、撤回、一時停止(全部または一部の)を命じるか、または長官命令の妥当性を判断する独占的な管轄権をもつものとする。
d)違反への刑罰;合衆国治安判事への最初の提訴;合衆国農務省の法務官による提訴
本法の何らかの条項に故意に違反した動物商、展示業者、または本法第12条に定めるセリ開催者は、有罪が確定した場合、1年以下の禁固または2500ドル以下の罰金、もしくはその両方が課せられるものとする。前記の違反の訴追は、実行可能な限り、まず合衆国法律集第28編第636条と合衆国法律集第18編第636条が規定する合衆国治安判事に提起するものとし、また司法長官が同意すれば、その提訴は地方裁判所への上訴審ともども合衆国農務省の法務官が行うことができる。

29条 差止(禁止)命令の請求権
a) 請求
動物商、運送業者、展示業者、または中間取扱い業者が扱う動物が盗難されたものであるか、または動物の健康が、本法または本法により公布される規則や基準への違反のため深刻な危機にあると信じるに足る理由があるときは、長官はその旨を司法長官に通知しなければならず、司法長官は、前記の人物が本法または本法により定められる規則や基準に違反して営業を行うことを防止するため、前記の動物商、運送業者、展示業者、または中間取扱い業者が居住するか、事業を行っている区域の合衆国地方裁判所に、一方的緊急差止(禁止)命令または差止(禁止)命令を請求することができる。
b) 発令
裁判所は、適正な立証がなされた場合には、(a)節により、保証なしの一方的緊急差止命令ないし差止命令を発令することができる。前記の命令は、第19条に述べる不服申し立てが長官に却下されるか、それによって長官が発令した排除命令が終局命令となるか、または上訴審で撤回されるまで効力を保つものとする。農務省の法務官は、司法長官の承認があれば、本条により提起されるすべての訴訟について、合衆国地方裁判所に長官の代理として出頭することができる。

   第三章 動物の適正な取扱い

(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条  動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
2  動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
3  動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。
4  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。

   第五章 雑則

(動物を殺す場合の方法)
第四十条  動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
2  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる。

(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)
第四十一条  動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用することに配慮するものとする。
2  動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
3  動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥つている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によつてその動物を処分しなければならない。
4  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第二項の方法及び前項の措置に関しよるべき基準を定めることができる